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樹脂部品の追加工はどこまでできる?二次加工の対応範囲と判断ポイント

樹脂部品の追加工はどこまでできる?二次加工の対応範囲と判断ポイント

「既存の成形品に切り欠きを追加したい」
「試作品の厚みを少しだけ調整したい」
「設計変更になったが、すべてを作り直す時間はない」

試作開発の現場では、完成した部品をそのまま活かしながら、形状や寸法だけを変更したい場面があります。

このとき問題になるのは、単に“削れるかどうか”ではありません。どこを基準に加工位置を決めるか、部品を変形させずに固定できるか、加工後も必要な肉厚や強度を残せるかまで考える必要があります。

本記事では、梅原モデルが行っている追加工・二次加工をもとに、対応できる加工、材質、加工方法、作り直しとの判断基準を整理します。

追加工の可否は「削れるか」だけでは決まらない

完成済みの部品には、素材から削り出す場合のような、加工用のつかみ代や安定した基準面がないことがあります。

特に既存成形品では、次のような条件が加工精度に影響します。

  • 曲面が多く、固定できる平面がない
  • 肉厚が薄く、固定すると変形する
  • 成形時の反りや個体差がある
  • 加工箇所の周囲に工具が干渉する
  • 加工後に必要な肉厚が残らない
  • 外観面を傷つけずに固定する必要がある

そのため、加工可否を判断するときは、機械のストロークや工具径だけでなく、現物の基準設定と固定方法まで検討します。

追加工は、加工そのものよりも、その前段階の「どう保持するか」が難しいケースも少なくありません。

梅原モデルが対応する追加工・二次加工

梅原モデルでは、既存成形品や試作品に対して、形状変更、寸法調整、機能追加、接合などの加工を行っています。

形状変更・寸法調整

加工内容主な用途
カット加工不要部分や干渉部分の切り落とし
厚み調整面削り、薄肉化、勘合調整
穴あけ加工追加穴、小径穴、穴位置の変更
角落とし面取り、R付け
微細寸法調整Φ0.2級の微細形状・寸法変更

例えば、組み付け確認後に干渉が見つかった場合、該当部分だけをカットできれば、部品全体を作り直さずに次の評価へ進める可能性があります。

穴位置や厚みの調整では、変更寸法だけでなく、どの面・穴を基準とするかが重要です。成形品の個体差が大きい場合は、図面上の基準と現物上の基準が一致しないこともあります。

意匠・機能の追加

加工内容主な用途
溝加工ガイド溝、装着溝、意匠溝
模様付け加工表面へのパターン追加
多面形状加工複数方向からの立体形状加工
深彫り加工深い形状をビビリを抑えながら再現

溝や模様は、機能だけでなくデザイン検証にも使われます。多面形状や深彫り形状では、工具の進入方向、加工R、工具の突き出し量、周囲との干渉を確認しなければなりません。

図面どおりの形状をそのまま加工できない場合でも、評価目的を確認することで、加工方向や形状分割などの代替案を検討できることがあります。

組み立て・接合

梅原モデルでは、切削による形状変更だけでなく、次のような組み立て・接合にも対応しています。

  • リベット留め
  • 溶着
  • 接着剤による接着
  • テープによる接着

接合方法は、材質、接合面積、使用温度、必要強度、外観、分解の必要性によって選びます。

例えば、評価後に分解する可能性がある場合と、完成状態に近い強度を確認したい場合では、適した接合方法が異なります。接着できる材質かどうかだけでなく、試作品を何に使用するのかまで共有することが大切です。

既存成形品・小ロット・自動車部品試作

追加工は、次のような案件でも利用されています。

  • 既存成形品の形状変更
  • 小ロット限定モデル
  • 自動車内装部品の試作
  • 自動車外装部品の試作
  • 自動車電装部品の試作

試作品や限定モデルでは、量産と同じ方法をそのまま採用すると、金型費や準備期間が見合わないことがあります。

既存部品への追加工、自作工具、手加工などを組み合わせることで、必要な数量と評価目的に合わせた加工方法を検討します。

対応材質と加工方法

エンジニアリングプラスチック

追加工の対象となる主な樹脂には、次のようなものがあります。

  • POM(ジュラコン®など)
  • PA66GF(ガラス繊維強化ナイロン)
  • PA66N
  • PC(ポリカーボネート)
  • PMMA(アクリル)
  • ABS

同じ形状でも、材質によって固定方法や加工条件は変わります。

また、「PA66」とだけ伝えるより、GFの有無、グレード、成形品か切削品か、表面処理の有無まで共有したほうが、加工方法とリスクを検討しやすくなります。

金属部品

アルミ部品への追加工にも対応しています。

樹脂部品と金属部品を組み合わせた試作品では、部品単体の寸法だけでなく、組み付け後の位置関係や勘合状態を含めて確認することがあります。

MC加工・自作工具・手加工仕上げ

梅原モデルでは、案件に応じて次の加工方法を使い分けます。

  • マシニングセンタによるMC加工
  • 専用の自作工具を用いた加工
  • 手加工による仕上げ・微調整

微細な形状や寸法調整では、市販工具だけでは狙った部分に届かない、必要な工具径がないといったことがあります。その場合は、真鍮などを使って専用工具を製作し、加工することもあります。

微細な形状・寸法調整のために製作した自作工具の例。

機械加工だけで完成させるのではなく、最後に手加工で調整したほうが、部品への負担を抑えながら目的の状態に近づけられる場合もあります。

既存成形品への追加工事例

次の画像は、既存部品の一部をカットし、形状を変更した例です。

追加工事例

既存部品の一部を変更した追加工例。左が加工前、右が加工後。

このような加工では、変更する形状だけでなく、現物のどこを基準に加工位置を決めるかが重要になります。

成形品に反りや個体差がある場合、3Dデータ上の理論位置だけを基準にすると、部品ごとに加工後の位置がずれる可能性があります。組み付け基準や既存穴など、実際の使用状態に合った基準を選ぶ必要があります。

大型部品や曲面が多い部品では、製品形状に合わせた治具を製作して固定します。

大型の樹脂部品を複数箇所で保持する専用治具の例。

追加工の事例

固定が弱ければ加工中に位置がずれ、強く締めすぎれば樹脂部品が変形します。

特に薄肉部品では、治具に固定している間だけ寸法内に入り、外した後に形状が戻る場合もあります。治具には「加工中に動かさないこと」と「部品を変形させないこと」の両方が求められます。

追加工と作り直しを判断するポイント

追加工は、既存部品を活かせる有効な方法ですが、必ず作り直しより安く、早くなるわけではありません。

追加工が向いているケース作り直しも検討したいケース
変更箇所が限定されている部品全体に変更が及ぶ
試作・小ロットである継続して多数使用する
安定した加工基準を取れる基準面を設定できない
治具で変形を抑えられる固定による変形が大きい
加工後も必要な肉厚が残る強度低下が予想される
現物を活かすメリットが大きい治具費を含めると価格差が小さい

追加工にかかる費用は、実際に削っている時間だけでは決まりません。

  • 現物確認・測定
  • 加工データ作成
  • 治具製作
  • 自作工具製作
  • 加工段取り
  • 手仕上げ
  • 寸法・外観検査

これらを含めた総額と納期で、作り直しと比較する必要があります。

また、支給品が1個しかなく、加工に失敗した場合に代替品を用意できない案件では、加工そのものが可能でも、予備品や同等材での事前確認を検討したほうが安全です。

追加工の可否を左右する5つの条件

1.加工基準を設定できるか

設計データ上の基準と、現物を固定するときの基準が一致するとは限りません。取り付け面、既存穴、外周形状など、実際の使用状態に合う基準を設定します。

2.変形させずに固定できるか

薄肉、曲面、複雑形状の部品では、専用治具が必要になる場合があります。外観面を保護する必要があるかも確認します。

3.工具が加工箇所まで届くか

工具の刃先が届いても、主軸や工具ホルダーが周囲の形状と干渉することがあります。多面加工や深彫り加工では、工具の進入方向も検討対象です。

4.加工後の肉厚と強度を確保できるか

希望する寸法まで削れることと、使用に耐えられることは別です。加工後の肉厚、接合部への負荷、使用環境まで確認します。

5.合格基準が明確か

どの寸法を保証するのか、外観上どこまで許容できるのか、組み付けば確認できればよいのかによって、必要な工程と検査は変わります。

すべてを厳しい公差にするのではなく、評価目的に関係する重要寸法を明確にすると、品質・コスト・納期のバランスを取りやすくなります。

見積もり・技術相談時に伝えたい情報

追加工・二次加工を相談する際は、次の情報があると加工可否を判断しやすくなります。

  1. 現物の全体写真
  2. 加工箇所の拡大写真
  3. 現在形状と変更後形状が分かる資料
  4. 材質・グレード
  5. 成形品、切削品などの製作方法
  6. 加工位置の基準
  7. 重要寸法と公差
  8. 試作品の用途・評価内容
  9. 数量と予備品の有無
  10. 希望納期
  11. 外観上の許容範囲
  12. 接着・塗装など既存処理の有無

すべての資料が完成していなくても、現物写真に変更箇所を書き込み、材質、数量、希望納期を添えれば、初期相談は始められます。

設計担当者は「何のために変更するのか」「守るべき機能寸法はどこか」、購買担当者は「支給できる数量」「予備品」「希望納期」「必要な検査」を整理しておくと、認識のずれを減らせます。

加工会社を選ぶときに確認したいこと

追加工の依頼先を選ぶ際は、設備の有無だけでなく、次の点を確認してみてください。

  • 現物をどのように固定するのか
  • どこを加工基準にするのか
  • 材質や形状によるリスクを説明してくれるか
  • 専用治具や自作工具を検討できるか
  • MC加工以外の仕上げ方法も選択できるか
  • 加工後の寸法・外観をどう確認するのか
  • 追加工が適さない場合に別案を示してくれるか

追加工では、「加工できます」という回答だけでなく、「どのような方法で、何を基準に、どこまで保証するか」という説明が判断材料になります。

梅原モデルでは、既存成形品、小ロット限定モデル、自動車内装・外装・電装部品などの追加工・二次加工について、MC加工、自作工具、専用治具、手加工仕上げを組み合わせて検討しています。

加工後の寸法検査、外観検査、三次元測定については、品質管理体制でもご紹介しています。

まとめ

既存成形品や試作品の追加工では、希望する形状を削れるかどうかだけでなく、加工基準、固定方法、材質、工具の進入方向、加工後の強度まで確認する必要があります。

梅原モデルでは、次のような追加工・二次加工に対応しています。

  • カット、厚み調整、穴あけ、面取り
  • Φ0.2級の微細形状・寸法調整
  • 溝、模様、多面形状、深彫り加工
  • リベット留め、溶着、接着
  • 既存成形品、小ロット限定モデル
  • 自動車内装・外装・電装部品の試作
  • POM、PA66GF、PA66N、PC、PMMA、ABS、アルミ
  • MC加工、自作工具、手加工仕上げ

追加工が適しているか判断できない場合は、現物写真に変更したい箇所を書き込み、材質、数量、希望納期を添えて相談してみてください。

加工方法が決まっていない段階でも、試作の目的と守りたい寸法が分かれば、追加工、接合、作り直しを含めた選択肢を整理しやすくなります。

FAQ

Q . 支給した既存成形品への追加工はできますか?

A . 対応可能です。ただし、材質、形状、固定方法、加工基準、支給数量によって可否が変わります。写真、図面、3Dデータ、変更箇所が分かる資料があると判断しやすくなります。

Q . Φ0.2級の微細な追加工もできますか?

A . 梅原モデルでは、自作工具や手加工を組み合わせた微細寸法調整に対応しています。ただし、Φ0.2という数値だけで一律に対応可否や精度を判断することはできません。形状、深さ、材質、基準位置を確認したうえでの判断となります。

Q . 追加工は1個から依頼できますか?

A . 梅原モデルでは、試作品を1個から相談できます。ただし、支給品が1個しかない場合は、加工リスクや予備品の必要性も事前に確認します。

Q . 3Dデータがなくても相談できますか?

A . 現物写真や図面から相談を始めることは可能です。ただし、複雑形状、多面加工、厳しい位置精度が必要な場合は、3Dデータや現物測定が必要になることがあります。

Q . 追加工と作り直しは、どちらが安くなりますか?

A . 変更範囲、数量、治具、自作工具、検査内容によって変わります。変更箇所が限定された小ロット品では追加工が有利になりやすい一方、部品全体の変更や継続生産では作り直しが合理的な場合もあります。